少女に連れられて、私たちは洞穴にて暖を取ることができました。
少女は火を起こすのにも手馴れいて、生活力の高さが見て取れました。
少女はにこやかに語り始めました。
「普通の人間に合うのは久々でな・・・。少しばかり嬉しいんだ。ゆっくりでいいからあんたのことについて教えてくれないか?」
真っ赤な炎を見つめながら事情を整理して話しました。
失踪した姉のこと。
霊山で合わせ鏡をしたこと。
そして、異世界に飛んできてしまったこと。
「そうか・・・お姉さんを求めてね・・・・私も元々この世界に飛んできてしまった身だから多少は力になれると思うよ」
「え?あなたも異世界に飛んできたの?!」
「ずいぶん昔の話だよ、こっちでの生活も長いんだ。あんたみたいな現世からの来訪者も幾人かあったことがある・・・」
「・・・あなた何歳なのよ・・・」
ふとした疑問が口から漏れてしまったが、少女は答えてくれた。
「もう色々と忘れてしまったが・・・。
この世界に染まると過去の記憶はこの世界に馴染みはじめて、過去に何があり何が正しいかも分からなくなる。
この世での常識は常に変化するんだ。
そして、この世界では時間の流れは現世と違うんだ。
現世に帰りたいのならば、急いだほうがいい。」
私はハッとして聞き返しました。
「?!現世に帰る方法があるの!!??」
少女は答えました。
「私は現世に帰れられた訳ではないが、過去に会った者で現世と行き来していた者の話は聞いたことがある。」
私は少女の話を聞き、少し落ち着つきました。
その、現世と行き来していた人が私の姉だったら・・・そんなことを考えながら強い眠気に包まれていきました。
「今日一日で様々な怪異に会い、体も心も疲れただろう・・・今日はゆっくり休むといい。」
私は少女の大らかさからか、少女の面影にどことなく姉の姿を重ねて眠りにつきました。