翌朝、まだ辺りが薄暗い中で目が覚めました。
起きて辺りを見回すと、火が消えていて少女の姿はありませんでした。
私は焦り、乾いた服に着替え急ぎ洞穴から出ると、こちらに向かって歩いてくる少女の姿がありました。
「おや、目覚めたか!どうだった?寝心地は?」
私が安堵している中、少女は笑顔で語りかけてきました。
「調度、今の時間帯なら霧も薄い、すぐ支度をして出かけるぞ。」
「出かける?いったいどこへ行くの?」
「私は現世に帰る方法については分からない、ただ関係のある場所なら知ってるぞ。行くだろ?山の先の湖へ。」
私は二つ返事をして、少女に感謝の気持ちを伝えました。
姉に関する情報は分からないままでしたが、現世に帰る方法については知っておきたかったです。
もしかしたら、姉にも会えるかもしれない・・・そんな淡い希望を抱いてもいました。
私たちは雨の中、ゴワゴワした山中に居ました。
「湖まで行くには、この道を越えるしかない・・・大体4分目といったところだろうか。」
「はぁ・・・はぁ・・・」
山中のむき出しの岩肌は私を歓迎してはくれず、私には非常に険しい山中でした。
「・・・貴女は、湖には行ったことあるんですか?」
私は彼女に問いかけました。
「いや、遠くから眺めたことがあるだけだ・・・あそこにはちょっと厄介な化物がいてな・・・。」
「化物・・・もしかしてその化物が邪魔で貴女は現世に帰れないのですか?」
「私が現世にか?・・・いや、私は現世に帰る気はないぞ」
「え?それならばどうして?!」
私が声を掛けようとした時、道の先に何か違和感を感じました。
「(・・・あの先ですが、何かおかしく無いですか?)」
「(・・・この山中には、姿が見えない魔物がいる。君に言われて気が付いたよ・・・。このタイミングで雨が降ってて良かった。)」
少女がそう答えると、違和感の招待に気が付きました。
道の先に雨の当たらないスポットがあったのです。
おそらく・・・そのスポットには見えない何かが潜んでいるのが感じ取れます。
「(このままじっとして、奴をやり過ごすぞ。)」
私たちは息を殺して身を潜めました。
しばらくすると、雨の当たらないスポットは崖を登るように移動していきました。
「奴は崖を登って行ったようだな・・・もう大丈夫だ、先に進もう。」
少女がこちらを振り向いたとき、崖から大岩が落ちてきたことに気が付きました!
「危ない!!」
私は少女を突き飛ばしました。
幸い、私たちは大きな岩を避けることはできました。しかし、細かい岩々が私に容赦なく降り注ぎました。