俺たちは、当初の目的だった魔王軍が拠点として使われた洞窟へ向かった。
洞窟は薄気味悪く、いかにも邪悪な者たちが潜んでいる雰囲気がする・・・
魔王軍の残党の調査だけど・・・まさか魔王の強力な幹部だったりが残ったりしてないよね?
「ルナさん、ここから洞窟の調査をする訳なんだけど・・・危ないから俺から離れないでね。」
「はい、フェリック様の後ろに着いていきますよ。」
ああ~なんて表現すれば良いのだろう・・・ルナさんは本当に聞き分けの良い娘だ。
薄気味の悪い地でも、俺を清々しくしてくれる心の清涼剤的な・・・おっといかん、初任務に集中せねば・・・
松明をかざしながら、俺たちは洞窟の奥へと進んでいった。
特に人も生き物もいる気配はないが・・・調査ってこんなもんでも良いのだろうか?
少しばかり広い通りにたどり着いた俺たち、そこで何か強烈な違和感を覚えた!
「ん?あそこの床・・・なんか変なくぼみが・・・」
俺は、石ころをくぼみに向かって投げる。
途端、壁から槍が出てきた!
「うおぁ!」
石ころ投げて良かった!
この洞窟、ところどころワナが仕掛けられている!
「すごい!フェリック様、よく気が付きましたね!」
「ハハハ・・・俺ほどの冒険者になると、仕掛けられているワナなんてすぐに見抜いてしまうんだ!・・・多分」
・・・ルナさんと話していて気が付いたけど、これ盗賊の素養ってヤツじゃないかな・・・。
よくよく見てみたらあそこにも・・・あんな壁にも・・・おいおい、天井にだって仕掛けられているじゃないか・・・
はぁ~俺はつくづく盗賊に向いているんだなぁ~
とにかく今は生まれ持った才能に感謝しよう・・・
罠を避けながら、俺たちはさらに奥へと進んだ。
どうやら最奥地みたいだけど・・・あれは祭壇・・・?
ん?誰か居るぞ???