少女に連れられて私は走りました。
なかば気が動転していましたが、少女がしっかりしていることもあり私は少し安心もしていました。
少女が私を引っ張りながら言いました。
「さっきの化物は痛みを気にする、アンタを少しばかり驚かせてしまってすまなかった。」
「いえ・・・助けていただきありがとうございま・・・?!」
茂みの奥から何か異形のモノがこちらを見ているのに気が付きました。
「・・・オギャァ・・・オギャァ・・・アー…アー…」
赤ん坊のような泣き声で不気味にそのモノはじっとしていました。
私は気が動転して声を上げそうなのもつかの間・・・
バシュウゥー!
と大きな音を立ててそのモノは何か体液のようなものを飛ばしてきました。
「まずい!こっちだ!」
少女は川に私を引き連れました。
「奴のネトネトは遅効性の毒だ。
ネトネトはこの川で洗い流せ。
水に入ると奴も追ってこれないからこのまま突き進むぞ。」
私は落ち着きが取り戻せないまま、彼女と辺りを駆け巡りました。
ただ、彼女の存在は私にとってこの上ない救いでもありました。