こっちか・・・?いや、あっちか?
来た道はどっちだっただろうか・・・?
勇者たちはまだ俺たちを追いかけてくる・・・俺たちが何をしたというのか・・・?
ん?待てよ・・・勇者たちは俺とルナさんをここの残党だと思っているのか?
でも俺たちをそんな理由で消そうとまでするとは思えない・・・。
何かワケがあるんじゃないのだろうか?
ちらっとルナさんの顔を伺うと、ルナさんが泣いていた。
「ひっく、えっく・・・あの人達・・・また私のこと追いかけてくる・・・」
「え?ルナさんは前も勇者達に襲われていたのか?」
「私のお兄ちゃんもあの人に・・・ひっく」
なんだって?!勇者はルナさんのお兄さんも襲ったのか!!
だんだん分かってきたぞ・・・勇者一同は俺たちにここで姿を見られるのは都合が悪かった。
なぜならば・・・勇者たちは魔王を倒したという情報操作をしていた・・・!
まだ推測の段階だが、魔王と勇者達は裏で繋がっていてそれを勇者は裏切る形を取った・・・。
勇者達はその証拠を消すために、魔王軍の拠点で何かを探していたんだ!
「貴様ら!生きては返さんぞ!!!」
ほら!めっちゃ血相変えて襲ってくるもん!
俺たちは走り続けた・・・そして、やっと見慣れた通りにたどり着いた。
ここだ、ここを待ってたんだ。
俺は石ころを投げ、ワナを作動させた。
ガシャン!
「な!!」
天井から降ってきたオリが勇者たちを閉じ込めた!
「ルナさん!こっちだ!」
「まてェ!!貴様ら!!顔覚えたからな!」
・・・なんて物騒な言いぐさなんだ・・・。
魔王軍の元拠点から出た俺たちは、そそくさとその場を後にした。
魔王軍の残党、実は勇者一同・・・これはとんでもないスクープなのではないか!
さっそくギルドに報告しなければ!!!
そこで落ち着きを取り戻したルナさんがふわりとこちらを見た。
「やっぱり・・・フェリック様は素晴らしい方でした。」
満面の笑みとまぶしい視線でこちらを見つめ、俺は心臓の鼓動を抑えきれなった。
ルナさんは柔らかそうな唇で俺にゆったりと告げたのだ。