魔王再臨?! その7

こっちか・・・?いや、あっちか?

来た道はどっちだっただろうか・・・?

勇者たちはまだ俺たちを追いかけてくる・・・俺たちが何をしたというのか・・・?

ん?待てよ・・・勇者たちは俺とルナさんをここの残党だと思っているのか?

でも俺たちをそんな理由で消そうとまでするとは思えない・・・。

何かワケがあるんじゃないのだろうか?

ちらっとルナさんの顔を伺うと、ルナさんが泣いていた。

「ひっく、えっく・・・あの人達・・・また私のこと追いかけてくる・・・」

「え?ルナさんは前も勇者達に襲われていたのか?」

「私のお兄ちゃんもあの人に・・・ひっく」

なんだって?!勇者はルナさんのお兄さんも襲ったのか!!

だんだん分かってきたぞ・・・勇者一同は俺たちにここで姿を見られるのは都合が悪かった。

なぜならば・・・勇者たちは魔王を倒したという情報操作をしていた・・・!

まだ推測の段階だが、魔王と勇者達は裏で繋がっていてそれを勇者は裏切る形を取った・・・。

勇者達はその証拠を消すために、魔王軍の拠点で何かを探していたんだ!

「貴様ら!生きては返さんぞ!!!」

ほら!めっちゃ血相変えて襲ってくるもん!

俺たちは走り続けた・・・そして、やっと見慣れた通りにたどり着いた。

ここだ、ここを待ってたんだ。

俺は石ころを投げ、ワナを作動させた。

ガシャン!

「な!!」

天井から降ってきたオリが勇者たちを閉じ込めた!

「ルナさん!こっちだ!」

「まてェ!!貴様ら!!顔覚えたからな!」

・・・なんて物騒な言いぐさなんだ・・・。

魔王軍の元拠点から出た俺たちは、そそくさとその場を後にした。

魔王軍の残党、実は勇者一同・・・これはとんでもないスクープなのではないか!

さっそくギルドに報告しなければ!!!

そこで落ち着きを取り戻したルナさんがふわりとこちらを見た。

「やっぱり・・・フェリック様は素晴らしい方でした。」

満面の笑みとまぶしい視線でこちらを見つめ、俺は心臓の鼓動を抑えきれなった。

ルナさんは柔らかそうな唇で俺にゆったりと告げたのだ。

「フェリック様こそが、次期魔王様にピッタリだなぁって思いました。」

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