冒険者ギルドから依頼を受注して、元魔王軍の拠点を目指して俺は旅路を歩いていた。
意気揚々と冒険者ギルドを飛び出した俺だが、先行きは不安でもあった・・・
元魔王軍の拠点で残党にあったらどうするか・・・とか特徴をしっかり見ている余裕はあるのか・・・とか・・・
特に万が一襲われた場合にはどうするのか・・・については絶えず頭によぎっていた。
そうだよ!魔王軍の残党が大人数居たら俺は無事ではいられないかもしれない!
初のギルドの依頼を一人で実行するのは無謀だったかもしれないなぁ。
なんにせよ、話し相手程度でもいいから同じ方角へ向かう人を探せば良かった・・・。
それに雲行きも怪しくなってきた・・・大雨が降りそうな天気だなぁ。
30分程歩くとやはり大雨が降り始めた!
うわー!どこかで雨宿りをしたい!視界が悪くなってきたし急がなくては!!
そうして注意深く先を見てみると、廃教会があるのを見つけた!
俺は廃教会に駆け足で向かった。
廃教会にたどり着き、俺は何とか雨宿りをすることができた。
・・・ところでこの教会、かなりボロボロではあるけれども結構立派な建築物っぽいなぁ・・・奥のほうまで行ったら何か隠されてたりして・・・。
俺は興味本位で廃教会の中に入り、奥へ進んでいくと何やら音が聞こえてきた。
・・・ん?これは・・・泣き声???
泣き声らしき方向へ進み続けると、次にははっきりと声が聞こえてきた。
「ああああぁぁぁ~私はなんでダメダメなんだぁぁぁ~」
奥の部屋で少女が泣いていた。
うお!か、かわいい少女が泣いている!
少女の風貌は聖職者のようで、か弱くどことなく守ってあげたくなる気持ちを感じさせた。
「や、やぁ・・・君も雨宿りをしているのかな?」
俺は半ば裏返った声を出してしまいつつ、少女に話しかけた。
「・・・は!貴方どちら様ですか?!」
少女は涙をぬぐってこちらを振り向いた。
「あぁ・・・俺はフェリックっていう盗賊・・・ではなく冒険者なんだけど、ちょっと雨宿りでこの教会に寄らしてもらったんだ!」
とっさに盗賊であることを隠してしまった。この少女は聖職者なので盗賊の印象が悪そうだったからだ。
「フェリック様は冒険者様なのですね!私はルナって言います!プリーストをしています!」
あぁやっぱり聖職者だった・・・盗賊は隠して正解だったかな?