憧れの冒険・・・!
待ち受ける困難と胸躍る活躍・・・!!
華麗な未来の俺・・・!!!
小さい頃から憧れていた冒険者ギルドに今俺は居た!
世界にオレの名「フェリック」を轟かせる為の第一歩が始まるんだと思うと胸の高鳴りを抑えられないッ!
今、冒険者ギルドでは第二の勇者になろうとするもので賑わっていた。
数か月前、王国は闇の魔王に支配されかけていた・・・しかし、闇の魔王は勇者一同に倒されて世界は平安を取り戻すことができた。
勇者はみんなの憧れだ、俺も王国を救った勇者みたいになりたい!!!
冒険者のギルドでは、王国からの依頼が流れ込んできている。
ここの依頼を数多くこなせば、名声も高まっていき憧れの勇者と一緒に働くことができるかもしれないんだ!
俺はカウンターへ向かい、案内人に話を伺った。
「初めてギルドへ来ました!冒険者として登録させてください!」
「初めまして、冒険者ギルドでは、あなたの適正職業を魔法で調べてそれに伴ってお仕事を用意できますよ。」
「よろしくお願いします!」
俺はテンションが上がり、思いっきり返事をした。
あぁ、俺の適正職業か・・・やっぱり勇者と肩を並べるんだから剣士なんかがいいなぁ。勇者一行には魔術師とヒーラーが居たからそれがぴったりだなぁ・・・!
あ・・・でもアーチャーなんかも捨てがたいなぁ・・・!後衛から勇者を守る!!これもなかなか!
「フェリックさんの適正職業が判明しました。」
心臓がバクバク脈打っている。どんな職業でもどんとこいだ!
「フェリックさんの適正職業は“盗賊”ですね。」
「・・・ん?盗賊?!え?あれ?」
「はい、盗賊です。金品を強奪したり、盗みを働いたりする職業ですね。」
「え・・・と、盗賊って勇者と肩を並べて働いたりできますか・・・?」
俺は不安気にギルドの案内人に聞いてしまった。
「えーと盗賊は王国ではあまりイメージの良くない職業ですね。あ、でもダンジョンへ赴く冒険者の方には人気の職業ではあるんですよ?宝箱を開けたり罠を解除したりすることができるようになると思いますし。」
案内人から勇者の単語が出てくることはなかった。
「盗賊なんかは闇ギルドの方がたくさんお仕事がありそうですが・・・一応、当冒険者ギルドにも盗賊向けのお仕事もあるんですよ。まずは適正職で仕事を始めてみては如何でしょうか?」
俺の顔がそんなに悲しそうに見えたのか、案内人はとてもやさしく対応してくれた。
「はい・・・分かりました・・・盗賊としてお仕事を頑張ってみたいと思います。」
「承知いたしました!フェリックさんには盗賊としてギルドの登録をいたします。ゆくゆくは勇者様と冒険をされるような活躍を期待しております!」
カウンターの奥から噴出すような笑い声も聞こえて、俺は半泣きになりそうだった。
でも、世の中何があるか分からないもんね、勇者もダンジョンに行くことあるだろうし!
「フェリックさんにお願いするお仕事は、魔王軍の残党調査です。」
「ここから10理程離れた場所に、魔王軍が拠点として使われた洞窟があります。魔王は勇者様達に倒されましたが、まだ魔王の復活をもくろむ残党が洞窟に現れることがあるそうです。その残党について調査をしてきて下さい。」
案内人の話を聞き、俺は大きな声で返事した。