異世界の都市伝説 その9

ザバァーン

・・・と音の中、私たちは湖に投げ出されました。

突然の水の中、私は状況を把握して少女を探しました。

彼女は水に揺られており、危険な状態であると判断しました。

このとき、彼女を助けるのに必死ではあったものの、自分でも驚くくらい冷静でいたことを覚えています。

何故少女に向かって「お姉ちゃん」と叫んだのだろう・・・。自分でもどうかしていると思っていました。

しかし、こんな年端もいかない子供には姉の面影がいくつもありました。

年が離れている姉は、よく私を可愛がってくれました。

勇敢な姉は、近所に住む家の大きなハスキー犬から私を守ってくれました。

でも水嫌いな姉は、私に泳ぎを教えてはくれませんでした。

少女に向かって水をかき分けているとき、ふと彼女の言葉を思い出しました。

「この世での常識は常に変化するんだ。

 そして、この世界では時間の流れは現世と違うんだ。」

 

私は泣きそうになりながら、彼女の腕を掴みました。

・・・お姉ちゃんは昔から私に心配かけないように必死だったよね。

でも、今度は私がお姉ちゃんを助ける番だから・・・。

姉妹二人で現世に帰るんだから・・・!

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