麺麭屋の少女の家族も石化から解放されたらしく、少女からは満面の笑みが溢れていた。
「お姉ちゃん達がみんなを石から助けてくれたんだね!ありがとう!」
「俺達からも礼を言わせてくれ!」
宿屋の主や薬屋等、町の人たちからも次々と感謝をされた。
これでこの町の悪政もなんとか解消されるだろう。
この町を混乱に追いやった現況のあの男は、あんな成でも腕は立つらしく、町の者の厳しい監視の元で町長を続けるようだ。・・・まあ石化を解く薬については、アイザックがレシピを町中に広めたから大丈夫だろう。
「お姉ちゃん達、ぜひウチにきてパンを食べて行って!」
「えーっと・・・そうさせてもらいたいけど、私たちはもう行くよ。」
「そんな!お礼くらいさせてよ!」
「アイザックがいることが知れ渡ってしまった中で、この町には長くいられないの。あなたの麺麭、とても美味しかったよ!是非今度立ち寄った時にはたくさん振舞ってね!」
「絶対だからね!」
そうして私は少女に手を振り町を後にした。
「お姉ちゃん~気を付けてね~!!」
私達の旅は常に何者かに狙われる崖っぷちの旅。行き止まりや終点であっても超えていかなければならない。
そう・・・私とアイザックの目指す地は賢者の石ができる前の過去の世界なのだから。