廊下の先には大広間があり、山荘のフロントに当たる場所だった。
「武器を捨てなさい!ストーカー!!それ以上来たらここら一帯に火をかけるわよ!そこのお土産コーナーなんて簡単に火が付くんだから!」
私が叫び、我妻君が即興の火炎放射器を構えるとストーカーはたじろぎ始めた。その様子を見て我妻君が口を開く。
「し、白鳥さんはどこだ!!あ、あとこの山荘から出る方法を教えろ!」
「我妻君、その必要はないわ・・・私の推理が正しければ、このストーカーが・・・白鳥さんなのだから!」
「え、ええええええぇぇぇ!!!」
ストーカーの口元がにやりと笑みを浮かべ、するすると顔の包帯を解いていく。するとそこには白鳥明日香の狂気じみた顔が現れた。
「・・・流石ね、月ヶ瀬響子さん。私のお願い通り、ストーカーの正体を暴いてくれましたね。あなたなら私の正体に気が付いてくれると思いました。」
「あら、私のことを高く買ってくれてくれるんですね!・・・普段は飼いネコ探しばっかりやってるんですけどね、私」
「でもどうして白鳥さんがストーカーだと分かったんですか?」
「1つめは、白鳥さん、すごく落ち着いてたこと。事務所で相談を受けたときからストーカーが本当に居るのか怪しんでました。証拠の手紙も持って来なかったので慣れっこなのかでっちあげかと思いました。」
「2つめは、ストーカーの動機がハッキリしないこと。愛しい人とひっそり暮らしたいのならば山荘に連れていくのはわかります。でも私と我妻君を排除するためにわざわざ愛の巣に呼ぶとは思えません。」
「3つめは、ストーカーが山荘に思い入れがあったこと。火を放った時に感じましたけど、山荘に大変思い入れがあるみたいですね。白鳥さんの素性を調べましたけど、あなた10歳のときに苗字変わっていますよね?山荘の主と性が一致していたんですが、何か関係があったんですか?」