「な、何なんですか?!あの化物?!」
我妻君が肩を使って大きな息使いをしながら聞いてきた。
…私たちはストーカーと思わしき大男からなんとか逃げてきた。
困ったことに入り口は封鎖されていたため、私たちは近くの部屋に逃げ込み、今に至った。
「というかなんで入り口に行かなかったんですか?こんな所からさっさと帰って警察に行きましょうよ!」
「・・・我妻君、私たちの目的は白鳥さんを連れて帰ることよ?・・・そしてこれは私の推測だけど、あのストーカーの目的は私たちの排除。入口に何か罠が仕掛けられていてもおかしくはないわ。安直に逃げるのは彼の思うツボだと思うの。」
「わ、罠だって?!入ってきたとき罠なんて何もなかったじゃないですか!!それに僕たちを殺すのなら爆弾なりなんなり使えばいいじゃないか!」
「我妻君!冴えてるわね!少々返答がヤケクソだけどもちゃんと冷静に思考するのは良いことよ。恐らく入り口に一方通行の罠はあると思うわ。ストーカーは、私達をいつでも襲えたにも関わらず『13人の間』に呼び寄せたんですもの。彼には私達を逃がさない絶対の自信があるのよ。」
「それだけ自信がある殺人鬼なんだったら白鳥さんも殺されてるんじゃないですか?僕たちの命を救う方法を考えましょう!」
・・・私達を山荘に呼び寄せた目的が邪魔者の排除ならば、ストーカーが執拗に手紙を送ってまで好意を寄せる白鳥さんを殺すとは考えにくい。
だが、『13人の間』に白鳥さんがいないとなれば、彼女はどこにいるのだろうか?私の考えと矛盾するけど、上の階に彼女がいるのか?