町に戻ると、多くのゴーレムは動かず大混乱になっていました。
私達は事情を説明するため、町長の屋敷へ娘さんと向かいました。
町長は町のパニックでさらに落ち着きのない様子になっていましたが娘さんを連れて帰ってきたことを伝えると次第に落ち着きを取り戻しました。
ご主人様が事情を説明し、ゴーレムのいなくなった町の復興に充てて欲しいという旨を伝えて金塊を渡したところ、町長はさっきとは打って変わって大喜びしていました。
町長の娘さんはご主人様へ言いました。
「この度は、たくさんのご迷惑をおかけしました。ほんの気持ちなのですが金の一部を持っていかれませんか?」
「その金塊は、ゴーレムがあんたに託したものだ。町の復興に必要なんだろ?」
ご主人様は答えました。
「町長の娘さん、あとは俺たちが町長に説明しておきますから、あなたはゴーレムを埋葬してあげたらどうでしょう?」
風月さんも答えました。
娘さんはペコリと頭を下げて、庭のほうへ走っていきました。
町はゴレームによって産業が支えられていましたが、そのゴーレム達が動かなくなった今、町の復興は非常に厳しいと思います。
町を活気づけるには、ゆっくりと時間をかけて人々が変わっていけません。
ただ、金塊に目がくらみゴーレムのありがたみをこれっぽっちも感じていない町長を見る限り、私は気がかりでならないと感じました。